
ウサギのような長い耳と、シカのようにすらりと伸びた脚。初めてマーラを見た方の多くが「これは一体何の動物だろう」と首をかしげます。
実はマーラは、南米原産のれっきとした「げっ歯類(ねずみの仲間)」です。あの巨大なカピバラと同じ仲間だと聞くと、意外に思う方も多いのではないでしょうか。
動物園でその姿を見かけて興味を持った方から、飼育を検討している方まで、マーラという動物には知れば知るほど惹き込まれる魅力があります。この記事では、マーラの分類や見た目といった基本情報から、群れでの暮らし方、繁殖、そして日本で会える場所まで、幅広くご紹介します。
この記事で学べること
- マーラはウサギではなくカピバラと同じげっ歯類の仲間である。
- 時速45〜80キロで走り、高く跳躍できる優れた運動能力を持つ。
- げっ歯類には珍しく一夫一妻制で生涯パートナーと連れ添う。
- 複数のペアが共同で子育てをする「保育所」のような習性がある。
- 日本各地の動物園でその姿を実際に観察できる。
マーラとはどんな動物なのか
マーラ(英名:Mara、Patagonian mara)は、げっ歯目テンジクネズミ科に分類される動物です。学名はDolichotis patagonumといい、南米大陸に生息しています。
げっ歯類、つまりネズミの仲間です。
意外に感じられるかもしれませんが、同じテンジクネズミ科にはあの世界最大のげっ歯類「カピバラ」や、ペットとして親しまれる「モルモット」がいます。マーラはこうした仲間の一員なのです。
見た目が独特なため、「ウサギとシカを足して2で割ったような姿」と表現されることもあります。しかしウサギ(ウサギ目)とは分類上まったく異なる動物である点は、マーラを理解するうえで大切なポイントです。
マーラには大きく分けて2種があります。パタゴニアの乾燥地帯に暮らす「マーラ(オオマーラ)」と、体がひと回り小さい「ショウマーラ」です。一般的に「マーラ」と呼ばれるのは前者を指すことが多くなっています。
マーラの形態的特徴

マーラの体長はおよそ45〜75センチ、体重は8〜16キロほどになります。げっ歯類としてはかなり大型で、中型犬くらいの大きさをイメージすると分かりやすいでしょう。
体毛は背中側が灰色がかった茶色で、お腹側は白っぽい色をしています。おしりの部分には白と黒のコントラストがはっきりした模様があり、これがマーラを見分ける特徴のひとつです。
脚はほっそりと長く、後ろ脚は特に発達しています。この脚こそが、マーラの優れた運動能力を支える秘密です。
マーラの基本データ一覧
驚くべき運動能力

マーラ最大の特徴は、その走行能力にあります。
マーラは時速45〜80キロという猛スピードで走ることができます。これは天敵から逃れるために発達した能力で、広大な平原を舞台にした暮らしに欠かせないものです。
さらに驚くのは、その跳躍力です。マーラは一度に2メートル近くジャンプできると言われており、走りながら急に跳ね上がる姿はとても軽快です。
この走り方には4つのパターンがあることも知られています。ゆっくり歩く「歩行」、小走りの「ホッピング」、ウサギのように跳ねる「バウンディング」、そして全力疾走の「ギャロップ」です。
動物園でマーラを観察するときは、ぜひこの動きの違いに注目してみてください。普段はのんびりしていても、驚いた瞬間に見せるスピードには誰もが目を奪われます。
マーラの生息地と暮らし

マーラはアルゼンチンを中心とした南米に分布しています。特にパタゴニア地方の乾燥した草原や低木林、半砂漠地帯を好んで暮らしています。
昼行性の動物で、日中に活動して食事をとります。
食性は基本的に草食です。草や葉、木の実、種子などを食べて生活しています。乾燥地帯に暮らすため、食物から水分を得る能力にも優れています。
マーラは地面に巣穴を掘って暮らします。この巣穴は身を隠す場所であると同時に、子育ての拠点としても重要な役割を果たします。
マーラは広い平原で暮らすため、常に周囲を警戒しながら食事をします。長い脚と大きな目は、天敵をいち早く察知するために進化した結果なのです。
一夫一妻制と共同保育という珍しい習性
マーラの生態で特に興味深いのが、その繁殖と子育ての方法です。
げっ歯類には珍しく、マーラは一夫一妻制をとります。一度ペアになると、オスとメスは生涯を通じて連れ添うことが多いのです。オスはメスを他のオスから守り、常に付き添って行動します。
1回の出産で通常1〜3頭の子どもを産みます。子どもは生まれてすぐに歩くことができ、成長も比較的早いのが特徴です。
そして、マーラの子育てには「保育所」のような習性があります。
複数のペアが集まり、共同の巣穴に子どもたちを預けるのです。まるで幼稚園のように子どもたちが1か所に集まり、親たちが交代で見守る様子は、動物の世界でも珍しい光景です。
ペットとして飼えるのか
ユニークな見た目から、マーラをペットとして飼いたいと考える方もいらっしゃいます。
結論から言えば、飼育は可能ですが、簡単ではありません。
飼育の魅力
- 人に慣れると愛嬌のある仕草を見せる
- 草食性で食事の管理がしやすい
- 比較的おとなしい性格
飼育の難しさ
- 走り回れる広大なスペースが必要
- 高い跳躍力に対応した囲いが必須
- 入手が難しく飼育情報も少ない
日本の動物園でマーラに会う
マーラは日本各地の動物園や牧場で飼育されており、実際にその姿を見ることができます。
広い放飼場でのんびり過ごす姿や、時折見せる俊敏な動きは、写真や映像だけでは伝わらない魅力があります。
マーラのように南米原産の動物を観察したいなら、同じく南米が故郷のラマの生態と特徴もあわせて知っておくと、動物園めぐりがいっそう楽しくなります。伊豆エリアではサファリのドライブスルー動物観察体験で、多彩な動物たちとの出会いを楽しむこともできます。
珍しい動物に興味のある方は、マントヒヒの生態と見どころのような群れで暮らす動物の観察もおすすめです。マーラの共同保育と比べながら見ると、動物たちの社会性の違いが見えてきます。
よくある質問
マーラはウサギの仲間ですか
いいえ、違います。見た目が似ているためウサギと間違われがちですが、マーラはげっ歯目テンジクネズミ科に属するげっ歯類で、カピバラやモルモットと同じ仲間です。ウサギ目とは分類上まったく異なります。
マーラはどれくらいの速さで走れますか
時速45〜80キロほどで走ることができます。天敵から逃れるために発達した能力で、跳躍力にも優れています。動物園でもその俊敏な動きを見られることがあります。
マーラの寿命はどのくらいですか
飼育下ではおよそ10〜14年ほど生きるとされています。野生では天敵などの影響でこれより短くなる傾向があります。げっ歯類としては比較的長寿な部類に入ります。
マーラは何を食べていますか
基本的に草食性で、草や葉、木の実、種子などを食べます。乾燥地帯に暮らすため、食べ物から水分を得る能力にも優れています。飼育下では牧草や野菜などが与えられます。
マーラは絶滅の危機にありますか
生息地の減少や環境の変化により、野生個体数は減少傾向にあると指摘されています。パタゴニアの草原開発などが影響しており、保全への関心が高まっています。動物園での飼育は、こうした動物を身近に知る貴重な機会でもあります。
まとめ
マーラは、ウサギのような見た目でありながらカピバラと同じげっ歯類という、驚きに満ちた動物です。時速80キロで走る運動能力、一夫一妻制、そして複数のペアで子を守る共同保育の習性など、知れば知るほど魅力が深まります。
次に動物園でマーラを見かけたときは、ぜひその脚の動きや群れの様子に注目してみてください。この記事の知識が、いつもの動物園めぐりを少し特別なものにしてくれれば幸いです。
まずは実際にその姿を目にすることが、マーラを知る一番の近道です。お近くの動物園で、この不思議なげっ歯類との出会いを楽しんでみてはいかがでしょうか。